風邪に効果ない「念のため」抗菌薬が耐性菌を増やしているってご存知ですか?

風邪は年中かかる危険のある病気

冬の乾燥した時期は風邪やインフルエンザが猛威を振るいますが、それ以外の季節でも風邪をひくということは多々あります。
日頃からどれだけ気をつけていても、少し抵抗力が落ちてしまったり疲れが溜まってしまったりすると体調というのは崩れやすくなるものです。
そのような弱った体に風邪のウイルスは侵入してきて風邪を引いてしまうことがあるのです。

最近では風邪をひかないために色々なグッズが販売されています。
風邪をひかないためにとこういったグッズを活用して対策をしているという人も少なくありません。

また、日頃から風邪の予防をするためにひき始めにすぐ対処しようとして風邪の引き始めに「念のため」と薬を飲む人も多いです。
しかし、この念のために風邪薬を飲むことは風邪をこじらせたり悪化させたりと逆効果になることがあります。

ウイルスに抗菌薬はきかない

一般的な風邪は様々なウイルスに感染することが原因です。
風邪をひいたと思った時にウイルスの増殖を防ごうと抗生物質を服用することがありますが実はウイルスには抗生物質が効きません。
そのため、風邪をひいたかもと薬を飲んでも効果がないことがあるのです。
>>風邪(かぜ)の原因|くすりと健康の情報局

それどころか、安易に薬を飲むことで「薬剤耐性菌」を増やす原因にもなってしまいます。
そのため、厚生労働省は不要な抗菌薬を減らすための手引きをまとめ医師に配布を始めています。

しかし、風邪をひいた時に抗生物質を飲んで治すことがあるのに、風邪が治らないケースがあるというのはおかしな話です。
これは細菌は抗生物質で抑えることができますが、ウイルスは抗生物質で抑えられないという違いがあるためです。
そこで、ウイルスでの風邪なのか細菌での風邪なのかを判断した上で適切な薬を処方しなければならないのです。

耐性菌の問題

細菌では耐性菌の問題が取り上げられることが増えています。
私たちの体には薬が効く細菌と薬への耐性がある耐性菌とがあります。
抗生物質を飲むと体内のほとんどの菌が死んでも耐性菌は生き残るのです。

そして、耐性菌が生き残るということは日頃栄養を分け合っているウイルスがいない中耐性菌だけが生き残っているという状況が生まれてしまいます。
これによって耐性菌は体内でどんどんと増殖をしてしまうのです。

健康な人であればこのような状態になっても特に問題はありません。
しかし体が弱っている時や高齢者の場合には、耐性菌が増えてしまうことで重症化したり死に至ったりするケースもあるので注意が必要です。

現在、耐性菌による死亡者は世界で年間70万人いると言われています。
このままむやみに投薬をして耐性菌を増やしてしまうと50年後には1000万人が耐性菌出なくなると言われており、早めの対策が必要です。